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 女王様の図書室


2005年4月に読んだ本     

3月は小説じゃないものも混ぜながら、冊数だけは結構読みました。
4月はまずワンコものからスタート。
期も新しくなった事だし、たまには自分で新しい作家に
チャレンジしようかな。


 コマのおかあさん  鷺沢萠             7.0カラット
 昨年4月に亡くなった作家鷺沢萠のエッセイ。彼女はコマという犬を飼っていて、そのコマが彼女のところに来ることになったエピソードやコマのいたずらぶりなどワンコと暮らすほほえましいエピソードいっぱい。軽快でちょっと下品でユーモアたっぷりの文章も心地よい。一番笑えたのは彼女がコマの足の飾り毛を「にっかぼっか」と読んでいた事!私たちと同じ事考える人がいたじゃん!!って感じで声を出して笑った。そして前足は「プレスリー」負けた!うちは「にしきのあきら」だった。
 彼女が亡くなった時自殺とうわさが流れて私も「そんな感じかもね」と何だか納得したのだが、これを読んだらそうは思えない。こんなにコマを愛している人がコマを残して絶対自殺なんかしない。公式HPにも前日まで明るい日記を綴っている。事故だったに違いない。そんな確信が持てるほどコマへの愛がたっぷり詰まったエッセイでした。ちなみにコマは現在彼女のお姉さんの家でかわいがられているそうです。ほっとした。

 かわいい子には旅をさせるな 鷺沢萠 6.5カラット
 著者が亡くなる前に出した最後のエッセイ集。明るく、ユーモアたっぷりの文体は読んでいて楽しいです。こちらにはコマの事はあまり出てきませんが、飛行機に乗る話のところで「ここで私が死んだらコマが困るから死ねない」みたいな事が書いてあって、「やっぱり自殺じゃない!」と思いました。でも、うつ病で通院はしていたらしいし、直前に大切な知り合いを亡くしているらしいので、本当の所はわかりません。新聞にも自殺と載っていた気もしますし。
 エッセイが割と私の好みなのは、下品さ加減が私と近いから?読むに耐えない品性下劣は嫌いですが、ちょっぴり下品じゃないと疲れます。旅行をした時の話や、沖縄での島ラッキョウの話など、あーわかる!!という話題も多く、今更ですが、惜しいなぁと思います。小説は初期のものしか読んでないので、今度晩年のも読んでみようかな。彼女は「川べりの道」で文学界新人賞を取って、当時「女子大生美人作家!」ともてはやされ、祭り上げられていた感じでした。辛い事もあったのでしょうか。

からくりからくさ 梨木香歩 7.1カラット
ジャンルとしては児童文学作家の梨木香歩。日本児童文学者協会新人賞、新見南吉文学賞、児童文学ファンタジー大賞などを受賞している。とはいえ、文学において「ジャンル分け」はあまり意味をなさない。この「からくりからくさ」はファンタジーでありミステリーであり、ヒューマンドラマである。主人公(?)蓉子は祖母を亡くし、祖母の残した市松人形「りかさん」と共に祖母の家に住む事になる。そこに、下宿人として3人の女子学生がやってくる。染物、織物を専門にする女学生たちの少し現実離れした生活と「りかさん」を巡る複雑な人間関係。「りかさん」の謎を紐解きながら、彼女たちの心の動きを描く。
「児童文学」というにはかなり人間関係は複雑だし、かなり濃厚な恋愛話もある。実は読み終わっても、人間関係がよく把握できない部分があった。読後、わからなかった人は、検索すると「相関図」を正確に作ってるサイトがあるので見てください。読む前に見てはいけません。
登場する女の子たちは、人間味はあるけれど、ギリギリのところでどろどろしていない、きれいな現実味を持って心に入ってくる。主人公の蓉子だけ、ちょっと現実離れしているが、それがまたいいポジションに感じられる。染色の時の表現や、庭の木や草についての表現が美しく、「癒し系」。しかも謎解きのはらはら感もあるから、一粒で何度も美味しい感じ。この人の作品はもっと読んでみたい!と思わせる。

最後の願い 光原百合 7.4カラット
 劇団φを立ち上げようとしている渡会(ワタライ)が、一人ずつ劇担任を集めながら、謎解きをしていく連作短編ミステリー。はじめただの短編かと思っていたのだが、一遍ごとに原作者、役者、美術、経理と人が揃っていき劇団が出来上がってゆくというのが面白い構成だ。どの短編もなかなかミステリーとしても良く出来ていて、短編と思えない中味の濃度だ。特に最後の一遍が「まとめ」の章として全体を良い感じに締めくくっている。
 1つ残念なのは、細かい事だけど、原作担当の響子のキャラクターが「痛い」こと。気の強い、少々乱暴なコという設定なのだが、多分作者は実際にはこういうコを見たことも話した事もなく、ましてや自分には乱暴な部分は微塵もないんだなーと思わせる無理のある不自然な台詞回しで、「頑張って乱暴な女の子を描いてみました」な感じが「イタイキャラ」になっている。
 重箱の隅をつついてごめんなさい。あ、でもそれ以外はとっても新鮮でよかったです。本当に。

ワーキングガール・ウォーズ 柴田よしき 7.2カラット
 黒田翔子37歳、独身、大手音楽関係企業の企画部係長。しょうもない上司と、面倒なOLたちの板ばさみになって、精一杯突っ張って生きている。オフィスでは小さな事件が起こり、それには小さな謎がくっついている。それを解決するのも中間管理職の翔子の仕事。そして、翔子が旅行先のケアンズで知り合った現地の旅行会社の嵯峨野愛美も夢と現実のギャップに疲れ始めた29歳。
 働く30代女性の心の揺れ、仕事への情熱、責任感とないまぜになったあきらめ。それらがとても良く描かれている。女が大企業で一線で働きつづけるのはホント大変なんだよね。舞台を東京とケアンズの両方にすることで、新鮮でアクティブな展開になっている。オフィスでの小さな事件もちゃんと解決し、読後感もすっきりなエンディング。
 柴田よしきは働く女性を書かせたらピカイチだな、と思う。とってもリアリティがある。この作品は「RIKO」シリーズの様などろどろした感じもないし、さわやかなのに、しっかりした読み応えでおすすめだ。特に、働く女性に読んで欲しい。

カラット




                                

5月

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