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 女王様の図書室


2005年7月に読んだ本     

暑いとアポロを連れて外に遊びに行くのも無理なので
エアコンの効いた部屋で読書という日もありました
7月に読んだなかでは「夜のピクニック」がベスト1。
やっぱり恩田陸、凄い。

 夜のピクニック      恩田陸 8.0カラット
 7月に呼んだ中ではベスト1。恩田陸の幅の広さをまた確認した一冊。
西脇融たちが通う高校では年に一度、夜を徹して80キロを歩く「歩行祭」が行われる。今年3年の彼らにとって、最後の歩行祭が行われた。
この一夜の中で融たちは、悩み、考え、成長していく。と文字にしてしまうとありきたりの青春小説だが、それだけで終わらないものが恩田作品にはある。
 実は私はこれをミステリーだと思って読み始めた。事実ちょっと謎っぽいシチュエーションもあったりするのだ。で、「驚きの結末はいつくるんだ?」と思いながらすごい勢いで読んだ。のに、ミステリーじゃなかった。私の勝手な思い込みでした。でも、それを拍子抜けとも、がっかりとも思わせない充実感がありました。
 恩田陸の描く少年や少女は本当にイキイキしてて、血が通った感じがする。高校時代の自分がそこにクラスメートの1人としているのではないかと錯覚してしまうくらい。もしかしたらその中の私も、西脇融に恋をするのかもしれない。そう思わせるくらい、魅力的に描かれているのだ。

 太ったんでないの?  檀ふみ・阿川佐和子 6.5カラット
 檀ふみと阿川佐和子の交換エッセイ。
「ああいえばこう嫁く」も面白かったけど、これもなかなか。全編食べ物がテーマ。仲良しのこの二人のエッセイはいつも愉快だ。軽快な文章、歯に衣着せぬ物言いが小気味良い。お互いにイイタイコトをズケズケ言い合っているのに、何だか下品にならず、知性を感じさせるのは二人の持つ雰囲気ゆえなのだろうか?二人とも大作家の父を持つ、インテリジェンスな女性だもんなぁ。
それにしても、この人たち美味いもん食いすぎだ。いいなぁ、女優。しかも殆ど人の金。こんな事なら女優になるんだった。(そんな理由で女優になるヤツはいない)

やさしい訴え    小川洋子 7.3カラット
 小川洋子の長編。
カリグラファーの瑠璃子は夫との生活から逃げ出し、山奥にある自分の実家が持つ別荘を訪れる。そこで、近くにアトリエを構えるチェンバロ製作家の新田、助手の薫、年老いたバグのドナと出会う。
3人は微妙なバランスを保ちながら少しずつ関係を深めていく。
小川洋子らしい、静かな抑えた文章で瑠璃子の新田への愛が綴られる。それはまるで謁装置の風景のように風にそよぎ、雨にぬれ、本当に穏やかに、でもとても深く語られる。
作中に出てくる「ジャン・フィリップ・ラモー」の「やさしい訴え」を是非BGMに流しながら読むことをお勧めしたかったが、最寄のツタヤにはなかった。がっくし。
本当の大人の恋はこういうもの、という一遍。

空を見上げる古い歌を口ずさむ 小路幸也 6.9カラット
 「いつかお前の周りで誰かがのっぺらぼうを見るようになたら呼んでほしい」そういって兄は家族のもとを去った。
数年後、小学生になった弟の息子が「のっぺらぼう」を見るようになる。それが始まりだった。読み始めたときは、少年の精神的内面を描く作品かと思ったのだが実は、SFミステリーというか、ホラーというか、ファンタジーというか・・・。
「異形の者」を制していくあたりはありがちなパターンなのだが、「のっぺらぼうに見える」をいう設定が斬新だ。「のっぺらぼう」が小説だけで終わらない事を私たちに告げている気がする。
だって、SFでもホラーでもなくのっぺらぼうはいるではないか。世の中には沢山。そして、現実の世界にはのっぺらぼう退治を「してくれる人はどこにもいない。その現実が一番ホラーだ。

 パレード  吉田修一 6.6カラット
 マンションの1室で不思議な共同生活をする4人。そしてさらにある日転がり込んで来たもう一人の少年。
 仕事も過去も様々な5人の人間模様を鮮やかに描いた作品だ。はじめシチュエーションがやけにトレンディドラマ風で、出てくる人物も今風なので、内容も軽目かと思った。ところがどっこい、1人1人の心理描写もリアルで、それぞれの引きずる過去にも重みが感じられる。
この人の作品は初めて読んだのだが、なかなか内面の描写が上手い。
重みがあるのにさらりとして、ヘビー過ぎないのがイイ。
そして若者達の成長物語だけでは終わらない驚きのラスト。これにはかなりびっくりさせられた。
次の作品を読んでみたくなる。

 ナラタージュ  島本理生 6.3カラット
 高校卒業と一緒に封じ込めた、演劇部顧問の先生への恋を、大学2年の時の再会で再び燃え上がらせてしまった泉。
 悲しい秘密を背負う先生と、同じ演劇部の小野君との間で揺れる心。切ない思い。この辺のピュアな思いは30歳過ぎた私には微妙にくすぐったいし、「そんな男にどうしてそこまで」とか思ってしまうのだが、エピローグの結婚間近な彼とのシーンやラストの先生と元同級生に聞かされるエピソードで号泣する泉の気持ちなどには打たれるものがある。
壊れるほどに愛した想いや、燃えるように憎んだ気持ちを全て封じ込めて泉は大人になって行くのだろうか。

カラット

カラット


                                

8月

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